2020年11月

引っ越してきてから生活も落ち着き、論文を読んだり、英語の勉強をしたりするだけの日々が続いています。そのほか、他大学の研究室主催のオンラインワークショップに参加したり、相変わらずこちらの会に顔を出したりしています。こんなご時世ですが、オンラインで参加できるイベントが増えたのは、大都市圏に住んでいない身としては結構ありがたいです。そういえば、研究室で今年Dを取って企業に就職した同期と遭遇したりもしました。このあたりの話は、12月の記録に入れます。特筆すべきことがないので、読んだ文献と周辺情報の整理を載せておきます。たぶん、12月以降からはこんな感じの記録になりそうです。

 

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 Multi-omics analysis on an agroecosystem reveals the significant role of organic nitrogen to increase agricultural crop yield, Proceedings of the National Academy of Sciences Jun 2020, 117 (25) 14552-14560

DOI: 10.1073/pnas.1917259117

作物の収量を増加させる有機農法の一つである太陽熱処理(農研機構では太陽熱土壌消毒として紹介されています)を施した処理区と非処理区でコマツナの栽培し、マルチオミックス解析をした研究。先行研究では太陽熱処理による収量の増加についての仮説がいくつか提唱されていたものの、結局のところ何がKey Componentなのか分かっていませんでした。この研究では、マルチオミックス解析により有機態窒素(アラニン、コリンなど)が植物の収量増加のKey Componentであることを明らかにしました。したがって、従来の農業では、作物の増産のために無機窒素肥料(硝安、硫安など)を利用していましたが、有機態窒素を利用することで化学肥料の利用量を減らし持続可能な農業の実現が期待できる、という内容です。

論文内の相関ネットワーク解析については、著者が東京大学で講義されたときの資料(2019年度第4回)が参考になりました。資料内のデータは下記の文献のものだそうです。こちらはまだ読んでいないです。

Transcriptomic and Metabolomic Reprogramming from Roots to Haustoria in the Parasitic Plant, Thesium chinense, Plant and Cell Physiology, Volume 59, Issue 4, April 2018, Pages 729–738,

DOI: 10.1093/pcp/pcx200

下記は相関ネットワーク解析(Weighted gene correlation networl analysis、WGCNA)の論文。

WGCNA: an R package for weighted correlation network analysis, BMC Bioinformatics 9559 (2008)

DOI: 10.1186/1471-2105-9-559

講義資料を参考にしながら、実際に手を動かしてみました。R初学者なので、WGCNAのパッケージを読み込んでもpickSoftThresholdの関数が見つからないと言われ、四苦八苦しましたが、大人しくWGCNAのチュートリアルページを眺めていたら、WGCNAを使うためにその他のパッケージが必要なことに気づきました。

WGCNA: R package for performing Weighted Gene Co-expression Network Analysis

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できた。けど、エッジが多くて構造がちょっと違う。ノード名を消せていなくて、講義資料のものよりだいぶ汚い...。どこかでコードを間違ったのかもと思いつつ、現時点ではとりあえずそれっぽくできるということを確認できればよしとしました。12月からはネットワーク解析の情報の理解と整理を進めていこうと思います。あと、Rの使い方も。 

 

おわり